世界征服は可能か

新書の鏡のような本だった。
タイトルで興味を引き、アニメやマンガという事例を斜めからの視点でテンポよく小気味よく語りつくす。つっこみどころにつっこみ、笑い同情する。そこから、社会にその構造を当てはめて、歴史からの引用につなげ、現在を語り未来に問いかける。
スピードの速さと展開のムダのなさで、あっという間に出口まで。

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

世界征服とは、現状の価値観や秩序の破壊である。
現在で言えば、弱者を軽蔑しネット内の流行意見に迎合することに抵抗し、弱者に優しくネットの祭りに参加せず自分の頭で考えることこそ世界征服だ、という。
岡田斗司夫は、世界征服ってカッコイイ!派だったのかもしれないが、世界征服なんてカッコワルイ派から読むと、人に優しくひとりで自分の意見を主張するのはカッコワルイことだからやめとけよ、という結論に読めてしまうのは、杞憂だろうか。
それとも、オタク系の人は皆、世界征服はカッコイイ派が多数を占めているんだろうか。