ロード オブ ウォー
試写会
軽快なリズムに乗っている映画は好きだ。類推に満ちて、それが笑いをくすぐる映画は好きだ。おおげさじゃない映画は好きだ。好きな曲が流れる映画は好きだ。皮肉に満ちた社会風刺の視線が足取り軽く冷たい映画は好きだ。
これで、映像が詩情にあふれていて、主人公がフォトジェニックに美しかったならば、あたしのツボに見事にはまる。
冷戦前から啓示を受けたように天性の武器商人として渡る男(ニコラス・ケイジ)(妙に小者)の物語。
戦争は、叙情的なセンチメンタルな心情を大きく超えた、あまりにも感覚が麻痺したあっさりとした日常の中で繰り広げられている。それは現実。あぁ、気分はもう戦争。
- 作者: 矢作俊彦,大友克洋
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1982/01/24
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 32回
- この商品を含むブログ (83件) を見る
ニコラス・ケイジに大物感がなく決して美しくないように、映像が決して美しくないように、現実に起こっている戦争の現場は決して美しいものではない。ヒロイズムも美学も、決してあるはずがない。
だから、ニコラス・ケイジは美しくないことにおいてリアルで、額に3本しわの入ったイーサン・ホークもまた現実で、同じように、世界では美しくない戦いが現実に続いている。
悲哀もなにもありゃしない。美しくないことが正しい映画。