シルヴィ・ギエム 最後のボレロ @愛知県芸術劇場

何年か前に、なんとなくシルヴィ・ギエムを見に行って、「後ろの人たちもみんなあの人くらい踊ってくれたらいいのに」と発言して、同行者に頭をはたかれたことがある。そんなたいそうな人だとは知らなかっただけなのに。そこで、名前を覚えた。

そうそうバレエを見ることのない身にとって、頭の中に描いていた像に一番近いのがギエムなんだというか、ダンサーはみんなあれくらい踊れるのものだと思ってしまったというか、そんなんだから、「最後のボレロ」なんてタイトルにやられて、めったに購入しない前売り券なんぞを握り締めて半年近く楽しみにしていたんである。

なのに、   風邪ひいた。
けど、    行く。

人間の体が周囲の空間を支配する力が圧倒的に強いのね。腕が伸びると 魔法の杖のように空気の質を根幹から変貌させてしまうみたいで、キラキラしている光だとか一瞬にして変わる温度や湿度がなまなましく伝わってくる。ずーっと見ていたいよ。トランストランス。

隣の席の人は、ほかの演目をすっとばして、本当に最後の「最後のボレロ」だけを見て帰っていった。
その前に踊った ギエムの「TWO」も素晴らしかったのにぃ。