無宗教こそ日本人の宗教である


日本人が 無宗教である と自らを表現するときの心理。
無宗教をどう定義づけているか。
社会的環境の変化。

そんなことをさらりと語っている新書。

納得できる。間違ってはいないと思う。的確に捉えていると思う。

数年前に出たという本なら、疑問は持たない。
ただ、2009年1月に出版された新書としては、若干、リアルな今現在の状況とはズレている気がする。

芸術家は、本能的に現状の先をとらえて表現する。
先端を行く学者は、芸術家の資質を持ちつつ想像力だけではなく裏づけのある理論を構築する。
その他の学者は、現在を分析するか、過去を分析する。

島田裕巳は、その時間軸が少し遅れているんじゃないだろうか。彼が現在だと見ているものは、実は過去の姿である、とでもいうかのような。

そのリアルな現在の認識の遅れが、オウム事件に際して、彼を追い込んだ理由のような気がしてきた。