恋 ジョゼフ・ロージー

ジョゼフ・ロージーは残酷だから好きだ。
甘美さと痛みのはざまで揺さぶられる人間を、容赦なく追い詰めて描いている。甘いだけの物語には決してしない。甘さを享受するために引き受けなければならない苦しみを、見逃してはくれない。優しい思い出ということにしておこう、なんていう、嘘を許してくれない。

深く複雑で破綻しても、一見破滅に見えても、生きているひとりの人間にとっては幸せなんだよ、という 腹をくくった者の満たされた気持ちが漂うんだね。