高慢と偏見

電車にイマドキの女子高生2人組が乗り込んできた。
低くて不機嫌そうな、それは酒ヤケかい?とでも疑ってしまうようなガラガラとした声で話をしながらやってきた片方の彼女は、4人がけの座席の私の向かいに座るときに、「すみません」と小さく鈴を転がしたようにあいさつをした。

それだけで「なんだイイ子じゃん」と思うほどに、私は単純なんである。

窓の外を見ながら、彼女たちの話を聞く。

いちいちもって率直なセリフ。同級生のグループの中のちょっと浮いた男の子のことを「彼は人を傷つけてることに気がつかないからねぇ」と言ってみたり、友達の彼氏についての悩みに「彼はちょっと○○ちゃんみたいに大人っぽい子にはついつい甘えたがるからさ 最近ちょっと心配だったんだ」と答えてみたり、知り合いの彼氏がちょぃと迷惑君だという話題のときには「でも、×ちゃんが相手でよかったんだよ。他の子だとかわせなくて大変なことになってるよ」などと淡々と語る。そのいちいちが明快に言語化されていて、前日「そのボキャブラリー不足をなんとかしろ」と怒られた身としては、うらやましい限りだったんである。

彼女たちの話を聞きながら、手元に広げていたのは、「高慢と偏見

高慢と偏見〈上〉 (岩波文庫)

高慢と偏見〈上〉 (岩波文庫)

ジェーン・オースティン 21歳の時の小説は、こんな電車の彼女みたいに、率直で飾らなくて恐れを知らない 女の子の中から生まれたんじゃないか、と思った。