スピリチュアルにハマる人 ハマらない人

患者の中に、”精神科医なんだから何も言わなくてもわかるでしょ わかってよ”という傾向の人が増えているという。占い師じゃないんだから、と香山リカは言う。
その占い師である私(笑)の経験では、その人の長所やわかりやすい欠点よりも、”他人にはわかりにくいけれどもあなたはこういう部分があるでしょう。人に言えないけどこんなこと感じるでしょ”というポイントを言ったほうが、納得してもらいやすい。まさに”何も言わなくてもわかるでしょ わかってよ”というポイント。

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)

表面に現れたり、表現しない(コレ重要)部分の”本当の自分”をわかってもらいたい人が多く、そしてその”本当の自分”は特別な存在でなければならないのである。
現代人の精神は厄介なものだ。
だから、オーラの色を見てもらって、前世は中世の騎士だったり、ポンパドゥール夫人だったりしたがるわけだ。
オカルトほどマニアではなく、活動家や学者ほど社会構造や汎用性のある理論に興味もなく、宗教系の人ほど連帯感や世界平和を掲げることもなく、スピリチュアルにハマる人の興味は、恋愛や家庭環境やささやかな金銭欲の範囲にとどまる。
”現在の自分”と”(理想像の)本当の自分”が乖離しすぎているとツラいだろうな。と思うと、楊貴妃だろうがナポレオンだろうが大安売りするくらいはいいか、とも思う。一時的な中間地帯への避難は、追い詰められた人には有効だと思う。
根本的な解決にはならないし、ますます乖離が進むだけだど、気分転換にはなるからね。